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経営・ビジネス

社外取締役就任インタビュー ~株式会社エムクラス創業者 村上 しほり氏~

このたび、株式会社エムクラス創業者であり、代表取締役、エグゼクティブオンボーディング・コンサルタントとして活動する村上 しほり氏が、当社の社外取締役へ就任いたしました。なぜ当社への参画を決めたのか、また当社に対する期待についてお伺いしました。

村上さんのご経歴を教えてください。

私は経営者を応援するプロとして、2つのキャリアを歩んできました。一つ目は経営幹部の人材紹介(エグゼクティブサーチ)、二つ目はPEファンド投資先での「経営人材の登用と組織開発」の支援です。最近では、次世代への事業承継(サクセッション)や、M&A後の組織統合(PMI)をテーマにご相談をいただくことが多くなりました。

自社の役割を、「組織の脳神経外科医」と例えることがあります。例えば、M&Aで株主が変わってPMIをする。それはある意味、外科的な手術のようなものです。その際、制度や組織図、数字を整える一般的なアプローチは、レントゲンで骨格を診るようなもの。私はそれだけでは不十分であり、「MRI」でその奥にある神経や血管、つまり組織の感情や文化のつながりまで「読影」して術式を決める必要があると考えています。これを無視してメスを入れると、組織は致命傷を負ってしまいます。

実際、多くの調査が示す通り、M&Aの成否を分ける最大の要因は文化の統合にあると言われています。組織に新しいリーダーシップという血を巡らせ、不安定な「集中治療室」の期間を乗り越えて、自らの力で拍動し、リハビリを経て自走し始めるまで、その全プロセスに「組織の執刀医」として命を預かる覚悟を持つのが、私のスタイルです。この経験や視点を、今後はNEWOLD CAPITALが関わる企業の成長や、ガバナンスの適正化に活かしていきたいと考えています。

今回、社外取締役の就任をお引き受けいただいた背景を教えてください。

決め手は、社長の栗原さんです。栗原さんにお会いした時、「この人を応援してあげたい。勝たせてあげたい。」と強く思いました。

栗原さんが見据える未来を、隣で誰よりも信じ、その実現を支えていきたいと感じたんです。

攻める時には思いっきり背中を押し、逆にリスクの懸念がある時には「ちょっと待った」と忖度なくストップをかける。全力の「応援」と、時に耳の痛いことも辞さない「直言」。この2つの私の特性こそが、社外取締役として発揮すべき役割だと思っています。

お声がけを受けた際、 NEWOLD CAPITAL に対してどのような印象を持たれましたか。

「NEWOLD(温故知新)」という社名に示される通り、過去の良き伝統を尊重しながら、未来へ向けた新しい解決策を提示する、
「見つけた!」と思いました。
NEWOLD  CAPITALは、単なるコンサルティングや仲介に留まらない「成長実現ファーム」として、クライアントの成長を全体像で捉えています。私自身の考え方・スタイルとも深く共鳴しました。

私が仕事をする上で、常に自分への戒めとし、またクライアントの社長にも贈っている格言があります。アブラハム・マズローの、「ハンマーしか持っていなければ、すべてが釘に見える」という言葉です。特定の手段や過去の成功体験に固執すると、問題の本質を見失ってしまいます。一つのソリューションに縛られず、クライアントの視点に立って「ものさし」を変えることで、一過性ではない本質的な価値創造ができます。

エグゼクティブ採⽤⽀援に携わる中で、⽇本企業の採⽤において、いま特に⼤きな課題はどこにあると感じていらっしゃいますか。

最大の課題は、「不明瞭な経営幹部の役割期待」、そしてそれと表裏一体である「出口戦略の欠如」です。日本企業の多くは、残念ながら「誰を採用するか」という「点」の議論で終わってしまっていがちです。せっかく新しい才能を迎え入れても、どう活躍してもらうかの議論が浅く、現場に丸投げされているのが実態です。私は、さらに一歩踏み込んで、「採用する前に、その役割の出口(終わり方)までをも設計に加えるべきだ」と考えています。

私は、成功の予言とともに「失敗の予言書」を作ります。あらかじめ失敗のパターンを言語化しておくことで、つまずきそうになった時にすぐに気づくきっかけになるのです。対処方法も想定済みなので、手遅れになる前に、経営として早期の介入や判断ができるのも、この「失敗の予言書」が転ばぬ先の杖になるからです。

ミッション達成後の次のポジションは何か。もし上手くいかなかった場合は、退職なのか、あるいは社内の別の役割に変更するのか。この「出口戦略」を、関係者間で共有することで、逆説的に「今、何をすべきか」という役割期待がよりクリアになり、誰がいつ、その成否を判断するのか、「そもそも何が成功でどうなったら失敗なのか」いう基準も明確になります。

「終わり方」を決めるところから始める。これが、組織とリーダーの不幸なズレを防ぎ、経営を健全に機能させるための最初のステップになると考えています。

企業が成⻑していく過程において、経営幹部採⽤と組織開発はどのようにつながっているとお考えですか。

VUCAと言われて久しいですが、パンデミック、AIの台頭、そして地政学リスクなど、予測もしなかった外部環境の変化がまさに今、私たちの目の前で本当に起きました。新しい価値を求め、企業が継続的に変わり続けることは、もはや努力目標ではなく生存戦略そのものです。そのベースとして、アップデートを繰り返す自律した組織力が必要だということです。

そのためには、定期的に「今の自分たちが持ち得ない視点」を外部から取り入れ、同質性からの脱却をすることが不可欠です。あえて過去の成功体験に囚われない多様な人材を抜擢し、組織に新しい風を吹き込む。しかし、異物を取り込むだけでは組織は拒絶反応を起こします。新しいリーダーシップを刺激として受け入れ、組織全体のOSを書き換えていく。このアップデートの連鎖こそが、私の考える組織開発です。

組織は生き物です。組織の規模が50人、100人、300人と変われば、課題も、求められるリーダー像も全く別物になります。「昨日の社長と今日の社長は違う、昨日のチームと今日のチームも違う」という前提で、変化を恐れず形を変え続ける。私の考える「NEWOLD=温故知新」には、過去の失敗も含まれます。ただの失敗に終わらせない。有益な経験値として財産として蓄える。私たちは「失敗すらも成長として喜ぶ組織」でありたいと考えています。

中⼩企業や成⻑企業の経営者にとって、成⻑局⾯の今のうちに⼿を打つべきことは何だとお考えですか。

激変する環境下で組織をアップデートし続けるためには、「フィードバックをし合う文化」を根付かせることが急務です。正解がない時代だからこそ、現場で起きている小さなズレを即座に共有し、軌道修正できる柔軟性が生死を分けます。多くの経営者は、この「伝え方」のミスで、せっかくの才能や可能性を生かしきれていない。もったいない、そこに宝がたくさんあるのに誰も気がついてないのです。

フィードバックを正しく機能させれば、潜在能力を引き出せるし、考えもした事がなかったこと、1人で出来なかったことを実現することができる。フィードバックをし合える文化を持つ組織は、どんどん強くなります。私自身がNEWOLD CAPITALに参画することで、まずは私たちがこの「忖度のないフィードバック」を体現し、自律的に進化し続けるための伴走をしていきたいと考えています。

NEWOLD CAPITAL の事業に対してどのような可能性を感じますか。

私の想像を超えるようなトランスフォーメーションがあると思います。未来から今の2026年を振り返って、懐かしさを超えて「あの時あんなことやっていたのか」とみんなで大爆笑するような、とんでもない変化がとても楽しみです。その変化を、外部から眺めるのではなく、社外取締役という立場で内側からしっかりと支え、皆さんと共に一つずつ丁寧に実現していくことが、今からとても楽しみです。一緒に、想像を超える未来を創っていきましょう。

村上様、貴重なお話をありがとうございました!

村上氏プロフィール

立命館大学産業社会学部卒業。2007年に株式会社リクルートスタッフィングに入社。2012年、株式会社インテリジェンスエグゼクティブサーチ(当時)に転職し、マネージャークラスの人材紹介業に携わる。2014年、株式会社リクルートエグゼクティブエージェントに入社。エグゼクティブ層の採用支援に邁進する傍ら、2017年よりビジネスコーチとしても活動を始め、「個の能力の最大化」をテーマに、移行支援を数多く手がける。

2020年、同社退職後に「エグゼクティブオンボーディング」を専門とする株式会社エムクラスを設立。経営人材の登用と活躍を支援する組織コンサルティングを展開。人とチームが持つ潜在能力の解放に情熱を注いでいる。

栗原 弘行

栗原 弘行

代表取締役CEO

Writer

三重県桑名市出身。
慶應義塾大学卒業後、証券会社に入社し、約2年間リテール営業に従事するも、当時、M&Aに関するニュースが世間を大いに賑わせていたこと、リテール営業をする中で、中小中堅企業のM&Aニーズがあることを知り、M&Aの仕事をやりたい気持ちが抑えられずに、日本M&Aセンターに入社。入社後は、多くのM&Aを成約へ導き、最終的には、上席執行役員として最大規模の事業部を牽引する。その後、企業の成長の手段として、質の高いM&Aは勿論のこと、M&A以外のサービスも本質的に提供したいという思いから、2022年6月に当社を創業。現在は、200件以上のM&A案件に携わった経験を強み、軸にし、「成長戦略実現家」として経営者様と向き合い、ご支援しながら、当社を主導している。