CSO大野から学んだ企業理解の真髄

第4回CxO Daiary振り返りと岩木の人となり

第5回のCxO Diaryについてお届けします!
前回のCFO岩木のCxO Diaryはご覧いただけましたでしょうか?
第4回CxO Diaryはこちら

流石、1,000件を超えるディール経験があるだけあり、とても興味深い内容でした。

仲介会社が増えている今だからこそ、M&Aを検討されている会社様には、営業担当者だけではなく、専門家と会話をしてみると良いのかもしれません。

「生きるM&A辞典」であり、会計士としての腕も確かな岩木ですが、数字を度外視したリスクを取ることが大好きな人物でもあります。よく海外のポーカー大会に参加しており、優勝してビリオネアになることが夢なのだとか。今のところ、どうやら良いところまでは行っているようですが、負け越していると聞いています。本人曰く、「いいところまでは行っている」とのことですが・・・。

CSO大野との戦略的ディールの裏側

今回は、CSOの大野と私とのディールについて記載していきます。

CSO(Chief  Strategy Officer)として、当社の戦略を担っています。戦略というと、何か見えない崇高かつクリエイティブなものを思い浮かべるかもしれませんが、大野はどちらかというと逆で、栗原や私がイメージしたものを全て見える化し、データを抽出し、仕組み化してくれている存在です。もちろん、M&Aプレイヤーとしても一流であり、私が知る限り、最もクオリティの高い提案を行い、中堅企業様の大型M&Aを推進する実力者です。

例えば、当社創業後、大野がジョインしてからは「NEWOLD ABLE」をメンバーと共に形にしてくれました。また、当社の「社内教育システム」や「中期経営計画の策定」など、会社の根幹となる戦略を大野が推進しています。

現在は、高い提案能力をアドバイザーとして最大限発揮するために、戦略本部という部署にて、中堅企業様に対する戦略コンサルティング兼FASのような組織を作り始めています。

(先日、当社が買いFAとしてご支援したこちらのディールについてもぜひご覧ください!)
【M&Aの成約式に潜入】食品卸業界の未来を見据えた共創戦略型M&A(株式会社イマイ様×旭食品株式会社様)

私は、今まで大野にも誰にも言ったことがありませんが、心の中で大野を「真のM&Aコンサルタント」と呼んでいます。

私と大野の初めて手掛けたM&Aディール

私が大野と初めてのM&Aを手掛けたのは2017年のことです。
富裕層向けの家事代行サービスを展開するA社と大手人材サービスB社のM&Aでした。

当時、私は栗原から家事代行サービスA社の「案件化」(企業情報を整理し、企業価値算定と企業概要書にまとめる業務)を依頼され、私としては、50ページにわたる完璧な提案書とロジカルな企業評価書を作成しました。土日も返上し、長時間かけて作り上げた「作品」のような感覚だったので、栗原から褒められることを期待していましたが、栗原の反応は「まあ、こんなもんだよね」といったものでした。今でもその時のことを覚えています。悔しいと思いましたが、実はその反応は、売り手オーナー様に対して資料を提示した際も同じようなものでした。

私が作成した資料を売り手オーナー様に説明を行った際、お恥ずかしながら「塚田さんの言っていることはわかりますが、私はどうもこの条件が正しく当社の価値を理解され、評価されているとは思えません」といったお言葉をいただきました。

私は、栗原から案件化から顧客対応まで任されていましたが、そもそも案件化業務の「本質」ともいえる、企業価値を理解するためのビジネスインタビュー、論点の洗い出しや企業文化の理解を通じたオーナー様との信頼関係を構築せず、ただ「資料を作る仕事」をしていたに過ぎなかったのです。

前提として、売り手オーナー様は非常に勉強熱心な方で、倫理法人会などにも精力的に参加され、崇高な経営観をお持ちでした。また、A社は「家事を単に代行する仕事」ではなく、教育モデルや資格制度を取り入れた非常に洗練されたビジネスモデルを持たれていました。今思えば、アドバイザーである私がA社の強みや特徴を理解せずに提案していたことが、売り手オーナー様が納得できない原因だったと言えます。

その後、これらのフィードバックを栗原に報告したところ、私は売り手の担当としてではなく、買い手を探す担当として動くようにとの指示がありました。そして、大野が改めて案件化を一から作り直すことになったのです。ご想像の通り、私はプロジェクトを外され、大野がアサインされました。(かなり悔しかったですが、プロの世界なので、選手交代を言い渡された気持ちでした。)

大野から学んだ本質的な企業理解の姿勢

大野の実力をあまり認識していなかったので、「お手並み拝見」といった気持ちで引き継ぎを行いました。しかし、すぐに自分とのレベルの違いを痛感することになりました。特に印象深かったのは、大野の「企業理解への姿勢」です。

私は、決算書や勘定科目明細を中心に見れば、ある程度企業理解ができると考えていましたが、大野はなんと元帳の1本1本の仕訳まで確認していたのです。1本1本の仕訳を見ることで、各科目の裏側にある「お金の動き」がよりリアルに浮かび上がり、そこから全体像を捉えていました。(企業やビジネスを2Dではなく、3Dで見ているような感覚です。)

本件において、大野が元帳をしっかり確認したことで、それまで案件の対象として議論されてこなかった社団法人などの別法人とのビジネスの関連性が明らかになりました。悔しいことに、私の案件化レベルでは、社団法人などの存在は理解していたものの、株式価値算定に含めていませんでした。

複数法人が絡み合う複雑なビジネスモデルでありながらも、大野は売上拡大のドライバーを的確に把握し、事業計画のドラフトを作成して、売り手オーナー様と有意義なディスカッションを実施していました。(数字面においては、もちろんCFOの岩木も関与しています。) 大野が担当者となったことで、企業概要書は劇的に洗練され、株式価値の算定ロジックも大きく変化しました。その結果、売り手オーナー様は納得され、候補先探しがスタートできたのです。

ご両社様から感謝されたご成約

結果として、候補先への「こだわり」が非常に強かったことから少々難航しましたが、私が意地ともいえる形で買い手企業となったB社をお連れし、無事に成約にこぎつけました。

最初のB社への提案は、大野と2人で行い、ホワイトボードを使いながらA社の魅力を担当者様にお伝えし、案件がスタートしました。成約に至るプロセスでは、栗原や大野と共に何度も売り手オーナー様にお会いし、複雑な論点の対応や買い手企業様との調整、契約書のご説明などを繰り返し実施しました。

本当に大変でしたが、A社B社双方から感謝され、私にとっても非常に心に残るM&Aとなりました。今でも、大野と売り手オーナー様は、お酒を飲む仲のようです。

M&Aで「人材採用」を強化

余談ですが、A社のM&Aプロジェクトは事業承継の課題を解消するためにスタートしましたが、売り手オーナー様は「M&Aを行うのであれば、成長課題を解決できる相手と組みたい」というご希望をお持ちでした。

大野は特に重要な成長課題を「人材採用」と定義し、売り手オーナー様とディスカッションを重ねていました。そのディスカッションがあったからこそ、売り手オーナー様がB社とのM&Aに前向きになったと感じています。A社は、M&A実施前は年間20名程度だった採用が、M&A後には月間20名程度の採用ができるようになったと聞いています。

大野は、まさに「真のM&Aコンサルタント」です。元々戦略コンサルティングの仕事をしていたことが影響しているかもしれませんが、企業理解や問題解決の「解像度」が他とは一線を画しています。

ちょっと変わったところもありますが、もし私がオーナーで会社の売却を検討することになった場合には、間違いなく大野に頼みたいと思っています。次回はそんな大野からCxO Diaryをお届けします!

追伸 〜感謝を込めて〜

折角の機会ですので、ここで触れさせてください。
本件のご支援で非常にお世話になったB社の担当者様、村田さんが数年前に若くして逝去されました。

個人的には、このディールが私の(おそらく大野も)キャリアを大きく変えるきっかけとなりました。また、栗原・大野・岩木という当社の役員メンバー全員で初めて手掛けたディールでもありました。この役員メンバーの関係性は、この案件を通じて築かれたものであり、おそらくこの案件がなければ、NEWOLD CAPITALも存在していなかったかもしれません。さらに、私個人としての重要なトピックスとなった「サーチファンド」をはじめて教えていただいた方でもありました。

村田さん、これからも当社を見守っていてくださいね。

塚田 壮一朗

取締役 兼 アドバイザリー第一部 部長

塚田 壮一朗

この記事を書いた人

東洋大学卒業後、税理士法人成迫会計事務所、株式会社ジェイエイシーリクルートメント、株式会社日本M&Aセンター兼サーチファンド・ジャパンの取締役を経て、当社創業。
数多くのM&A成約実績を持つプロフェッショナル。

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