新ビジネスモデルで創業!コロナ期間も乗り越えた、「オフィス家具×EC販売」の成長戦略とは?

成長企業の成長に伴う“痛み”やどのように成長を遂げてこられたのか“How to”に迫る新企画、「成長ツウ!」をお届けします。
今回は、オフィス家具のEC販売を展開される、オフィスコム株式会社の室木氏にインタビューしました。

オフィスコム株式会社
代表取締役社長COO 室木 剛氏
https://www.officecom.co.jp/

目指すは、簡単・最安・最速のかっこいい空間づくり!――オフィスコムについて

2007年に創業し、17期目迎える会社です。「簡単・最安・最速でもかっこいい空間作り」を経営理念に掲げていて、主にオフィス家具のEC販売を、オフィス作りに関わる内装・設計を含めて、全国で展開しています。

↑オフィスコムが掲げる経営理念について説明していただいた。

ニーズは“作る”より“見出す”!――室木社長について

20代の頃は、営業会社でアウトバンドの営業スタイルを貫いてやってきました。商材もコロコロ変わりながら、多岐にわたる商材を販売していましたね。

20代で営業をやり切って、30代はどう過ごすかを考えた時に、「同じマネジメントを次世代にどのように実践してもらうか」という課題を感じました。自分がやってきたことをそのまま次世代に押し付けるというのは、なかなか難しいと感じました。

そこで、「ニーズを作りにいく」より、「ニーズがあるものをいかに自分たちで見出して提供していけるか」が重要だと考え、オフィス家具のEC販売やプラットフォーム作りに繋がりました。

家具業界の課題に着目したのが創業のきっかけに!――創業社長との関係

創業社長は、前職の20代前半から一緒に働いていた仲間です。彼は起業家なのでいずれ一緒に働くことを誘われていました。

オフィス家具の販売を始めてみようとなった時に、私の友人が昔ながらの家具販売会社に勤め始めたというところが1つ契機になったと思っています。

友人と話す中で、「メーカー様からお客様に届くまでの家具の商流が非常に複雑で、お客様にとってはどこで買えばいいかわからない」「選択肢が狭い業界だよね」という意見が合致したんですよね。

当時はカタログでの販売もありましたが、やはりインターネットで物を探したり意思決定したりする方がスムーズに受け入れられるのではないかと思いまして。その友人が最初に会社を立ち上げて、私は別の会社に勤めた後、2年後にジョインしました。

インターネットでの販売は迷惑だった?――“成長痛”について

創業期や成長期など色々な成長痛があったのですが、その時期によって想定できないことがありました。

会社を立ち上げた時は、メーカー様に取引をお願いしても断られてしまうという1つ目の課題がありました。取引をしていただけない理由というのは、私たちの信用力不足というのは根本にありますが、大きな問題として「既存の商流を壊せない」「インターネットで売られると困る」というものでした。

特に家具業界は、メーカー希望小売価格と掛け率があり、お客様に掛け率いくらで販売するというのがあります。それをインターネットで行うと、価格が明示されて困ると。「お客様が求めているのはインターネット販売なんです」と伝えても、なかなか最初はお取引していただけませんでした

売れても届かなければ意味がない!?――M&Aが行われた当時について

おかげさまで、創業期から順調にお客様が増え、リピートも増えてきていたのですが、2つ目の課題として、「在庫が足りない」という問題が起きていました。そこで、PB商品(プライベートブランド)を作ることで在庫を増やし、お届けするところまで自社でやろうという決断に至りました。

お客様が欲しい時に在庫がないというのも、家具業界の慣習なんです。なので、大抵の場合は「受注発注」といって、受注をいただいてから作り始めています。しかし、インターネットだと「いつ届くのか」という観点が重要になりますよね。そこもクリアしないといけないという課題があり、PB商品を作りました

こうして、お客様にも受け入れられる商品を作り、順調に売上を伸ばしていったのですが、ある時少しずつ運営体制に歪みが出てきました。というのも、運送会社の経験がなく、在庫を倉庫で保管する知識がなかったんです。社員を外部から雇うのですが、その辺りのリスクを事前に察知できず、マネジメントする術がありませんでした。

また、全国津々浦々にインターネットで販売していますが、どのお客様にも同じ品質で商品をお届けすることが求められます。そこで、運送会社と契約をするのですが、「(運送の)担い手が少ない」といった問題もあって「売れるけれど運べない」状況に陥ってしまうんですよね。どんなに商品が売れても、お客様に届けられなければ、私たち自身は無くなることになりますから、厳しいということです

もう1つの背景としては、創業者が他のことにチャレンジをしてみたいということがありました。そういった部分からM&Aを意識し、ご紹介いだいた会社様と数社お会いして、プラスグループにジョインさせていただくことを決めました。

コロナ期間は在宅での需要が増えた!――リモートワークの普及による影響について

当然、予見し得ないことが起きる世の中ですよね。確かに、コロナ期間中は非常に厳しかったのですが、結果として私たちのコロナ期間中というのは、新たな変化も起こりました。

というのも、オフィスでの需要は減ったものの、在宅勤務に向けた需要が増えていたんです。「ダイニングチェアだとどうしても限界が来てしまう」「2時間ぐらい経つと腰やお尻が痛い」といったことですよね。

そうなると、お客様が検索されるワードが、「オフィスにあるチェア」「オフィスチェア」に変化し、お客様にご購入いただく数が増えました。今から振り返ると、当初はピンチだった状況が、結果的に特需に変わった時期なのかなと思っています。

お客様からのレビューがやりがいに繋がる!――現在感じる“成長痛”とは?

先が読めないこと、前例に囚われないことを、いかにメンバーと挑戦できるかということだと思っています。

挑戦にはリスクが伴いますし、挑戦し続けることには持久力も伴うと思っています。期間の長さだけを考えると辛いかもしれませんが、常に毎年お客様が求めているものは変わっていきますよね。

また、インターネットからたくさんのレビューをいただくのですが、オフィスに向けて販売していると思っていたのが、実は保育園や医療施設、マンションの管理組合だったりするんです

通常のルートではなかなか接点が持ちにくいようなお客様が、インターネットを通じて、私たちを信用していただいたお客様からどんどん広がりを見せていることは、非常にやりがいを感じます。こうしたやりがいを実感できる環境を作り続けることが大事なのではないでしょうか。

あとは、ゴールがない努力はし続けられないと思っていて。やはりお客様からのフィードバックによってやりがいを感じられることが、努力を継続できる原動力になると考えています。そういったものを従業員と分かち合いながら行うことで、成長していきたいですね。

最近は一般のお客様以外にも需要あり!――成長戦略について

現在はプラットフォーム・ECサイトという側面と、オフラインでは対面の拠点でショールームという拠点を持ち、お客様に向けた販売というのが100%でした。しかし、昨今ではありがたいことに、サプライヤーの方々からお話をいただく機会も非常に多くなっています

「仕入れもしくは一緒に企画を行い、お客様にお届けする」という流れは変わらないと思います。しかし、メーカー様やサプライヤー様がECの販路を作りたいと思っても、自社内にそれを取り込む要素がなかったり、大きな家具をお届けする物流を持っていなかったりするんです。

このように、サプライヤー様も悩みを持っていらっしゃるということに最近気づかされました。そこに対し、サプライヤー様が使いやすい当社のプラットフォームを作っていくことが大事だと思っています。

「何が何でも人がやらないといけないということはない」という考えを持ち、家具業界で私たち自身の変革を求められていると思っています

↑ありがとうございました!

渡辺 紗里奈

経営戦略室 シニアアソシエイト

渡辺 紗里奈

この記事を書いた人

東京理科大学卒業後、新卒で株式会社日本M&Aセンターに入社し、M&Aアドバイザーとして従事。当社においては、100億円を超えるディールサイズの案件をセルサイドFAとして担当。M&Aアドバイザーとしての経験を活かし、経営戦略・新規事業・マーケティング等、NEWOLD CAPITALの経営戦略推進を担当。

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